マリアへのクリスマスの知らせ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　金沢南部教会牧師　　土肥　聡　

世界ではじめてクリスマスの出来事を知ったのはマリアです。彼女が住んでいたナザレは、ガリラヤの小さな村で、４８０人ほどの人が住んでいたと言われています。マリアはすでにヨセフの許嫁になっていました。当時の結婚年齢からすれば、おそらく１０代半ばでありました。その小さなマリアの人生にとてつもない大きな出来事が起こります。

突然、天使ガブリエルが現れて言いました。「おめでとう、恵まれた方」と。この天使の訪問に、マリアは戸惑いました。天使から妊娠の事実が伝えられたからです。マリアは大工のヨセフと結婚の約束をしていましたが、一緒になっていなかったのです。しかし胎内に子どもがいるというのです。その妊娠は、ただ普通の子どもが宿ったのではない。救い主、神の独り子のいのちが宿っている。もうすでに身ごもっているという事実を告げられて、マリアは戸惑うのです。その事実を拒絶しようしました。

マリアにはヨセフとの結婚を前に、思い描いていた新しい家庭の夢があったでしょう。ささやかでも、平和で温かい家族の生活を願っていたのでしょう。そこに、突然、割り込むようにして、神さまの計画が告げられたのです。それはマリアが救い主の母になるということです。なぜ、どうしてと戸惑う小さなマリアが、神さまの計画の一端を担うのです。そのことは、マリアによっては、思いがけない人生の変更でありました。自分の願いではなく、神さまの意志に従う信仰が求められたのです。

「わたしは主のはしためです。お言葉どおりになりますように。」この言葉には、神の意志をそのまま受け入れるきっぱりとしたマリアの決断が示されています。神さまが、ご自分の御子をこの世に送るという大きな救いが、小さなマリアを通して、私たちに与えられてことを深く思います。

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜日曜学校便り　２５４号　　　２０１９年１２月８日発行＞